2020.09.18
修繕積立金 長期修繕計画 大規模修繕 

修繕積立金とは?管理費との違いや相場を徹底解説!

修繕積立金とは?管理費との違いや相場を徹底解説!

分譲マンションなどを購入した際、管理費と共に毎月積み立てる必要があるのが、「修繕積立金」です。

入居者(区分所有者)にとって修繕積立金は月々の負担になりますが、マンションの共用部分の修繕・維持管理や、不動産としての資産価値の維持のため、大きな役割を果たしています。

本記事では、修繕積立金の役割や、管理費との違い、相場・平均額について解説します。

修繕積立金とは?住まいの修繕・維持管理のための積立金

共用部を維持管理するための修繕積立金

修繕積立金とは、分譲マンションの外壁・屋根・エントランス・エレベーターなどの共用部分を中心に修繕工事や維持管理を行うため、入居者(区分所有者)全員が負担する積立金を意味します。

マンションの共用部分は、特定の入居者だけでなく、全員が日常的に使用する部分です。それぞれの入居者が使用する居室などの専用部分については、マンション管理組合による修繕工事の対象ではありません。

修繕積立金は2年、3年先の修繕工事のためだけではなく、15年や30年先のスパンを見すえ、長期間にわたって安心安全に住まいを維持するために積み立てられます。

こうした修繕・維持管理に必要な費用を一括で集めてしまうと、区分所有者の金銭的負担が大きくなるため、マンション管理会社は毎月少しずつ長期に渡って費用を集め、積み立てていきます。管理費、住宅ローンと並び、物件購入後も入居者が支払い続ける必要のある費用の1つです。

なお、原則として管理費や修繕積立金は返金されません。分譲マンションなどを売却しても、積み立てたお金は返還されないため注意が必要です。

修繕積立金の金額は「長期修繕計画」に基づく

修繕積立金の金額は、一般的に国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」に基づき、分譲事業者が策定する「長期修繕計画」によって決定されます。[注1]

長期修繕計画作成ガイドラインでは、修繕積立金の計算方法を原則「均等積立方式(積立方式)」とし、長期修繕計画の期間中の修繕積立金の金額が一定(均等)になるよう求めています。たとえば、向こう30年の長期修繕計画を作成する際は、修繕工事費や設備交換工事費などその期間に予定される工事費用の総額を見積り、月々の金額に均して修繕積立金の額を決定します。

分譲マンションによっては、均等積立方式ではなく「段階積立方式」を採用するケースもあります。こちらはあらかじめ期間を決め、月々の修繕積立金を段階的に増やす計算方式です。入居した当初は修繕積立金の負担が他のマンションよりも軽いことが多いですが、築年数とともに金額が上がり、負担も増えていくため一長一短のある方式です。

なお、長期修繕計画は一度作成したら終わりではありません。建物の使用状態や必要な工事の見直し、収支の状況などにより定期的に見直すことが大切です。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、長期修繕計画を「5年毎を目安に定期的に見直している」マンション管理組合が、全体の56.3%に達しています。[注2]

そのため、修繕積立金の金額が変わらない均等積立方式であっても、推定工事費の増加により、積立金の不足が予測される場合には、計画内容の見直しや修繕積立金の増額の検討が必要なケースもあります。

[注1] 国土交通省:長期修繕計画作成ガイドライン
https://www.mlit.go.jp/common/001172736.pdf

[注2] 国土交通省:平成30年度マンション総合調査結果
https://www.mlit.go.jp/common/001287412.pdf

修繕積立金の2つのメリット

入居者の負担となる修繕積立金ですが、マンションにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

まず、マンションの共用部分の維持管理により、住まいの快適さが保たれる点が挙げられます。

外壁のひび割れ、階段や手すりのペンキの剥げ、給排水設備の老朽化など、住まいの快適さは年月と共に損なわれていきます。こうした共用施設の状態を改善するために積み立てられるのが修繕積立金です。

また、修繕積立金を資金としてマンションの修繕・維持管理を行っていくことは、結果、マンションの長寿命化、資産価値の維持にもつながります。適切な時期に適切な修繕を実施することで美観や建物の性能が保たれることはもちろん、修繕積立金は耐震補強工事やバリアフリー化など安全性、機能性を高める工事にもが使われます。築年数が経っても建物の性能がしっかり維持されていること、時代に即した安全性や設備が付加されていることは資産価値を維持していく上でも大切なポイントです。

一方で修繕積立金が不足し、大規模修繕工事の原資を賄えないマンションでは、必要な修繕ができず資産価値が大幅に減少してしまうケースもあります。

安心・安全な暮らしと、分譲マンションの資産価値の維持のため、修繕積立金は非常に大切な役割を担っています。必ず定期的に見直しを行い、収支の状況を確認しましょう。

 

修繕積立金は何に使われる?代表的な3つの使い道

修繕積立金には、大きく分けて次の3つの使い道があります。

1. 定期的に行われる大規模修繕工事

まず、およそ10~15年位を1区切りとして、定期的に行われる大規模修繕工事が挙げられます。小さな保守・メンテナンスは日常的に行われていますが、それでも年月を重ねるうちに、建物の至るところにダメージが蓄積します。大規模修繕工事の実施により、入居者の快適な生活を守り、マンションの資産価値維持に貢献します。

2. 事故や災害の際の突発的な修繕工事

定期的な修繕工事のほかにも、台風・地震・津波などの自然災害により、マンションに被害が生じるケースがあります。こうした突発的な修繕工事についても、毎月の修繕積立金から工事費用の一部を捻出しています。

3. マンションの共用施設の改善や改修など

マンションの共用部分の改善・改修を行う際も、修繕積立金から工事費用が拠出されます。たとえば、駐輪場や駐車場の増設・移設や、集合ポストの新規取り替えなど、共用部分に傷みはないが、入居者の生活の質の向上のために工事の必要性が認められるケースです。

また、1981年以前に建てられた旧耐震マンションの場合、耐震診断や耐震補強工事を検討されている管理組合も多いと思いますが、その費用の原資となるのも修繕積立金です。

一方、日々の清掃や電球の取り替えなど、共用部分のちょっとした工事や維持管理については、修繕積立金ではなく管理費から費用が拠出されます。修繕積立金と管理費の違いを知っておきましょう。

 

修繕積立金と管理費はどう違う?管理費との使い道の違い

管理費と修繕積立金の違いは使い道!

修繕積立金と管理費の違いは、それぞれの積立金の使い道にあります。管理費も修繕積立金も、マンションの住居部分ではなく、共用部分のメンテナンスのための積立金である点は変わりません。

しかし、管理費の主な使用目的は、大規模な修繕工事が必要ない清掃・ごみ処理・保守点検などです。たとえば、廊下やエントランスの電球の取り替えや、定期清掃を行う事業者への業務委託費、中庭・エントランスの植栽の手入れ費用などが挙げられます。

また、共用部分の水道光熱費や、共用設備の火災保険・損害保険などの保険料も、実は管理費から捻出されています。

修繕積立金が長期修繕計画に基づき、マンションの修繕・維持管理のための積立金であるのに対し、管理費は入居者の日常生活を快適に維持するためのメンテナンス費用です。一般的な分譲マンションでは、修繕積立金と管理品を合わせ、月々2~3万円ほどの積立を行っています。

 

修繕積立金の相場は?国土交通省の調査を元に解説

国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理費・修繕積立金の平均額は次の通りです。[注2]

1戸あたりの平均額
管理費(駐車場使用料等を含む) 平均 1万5,956円
単棟型 1万6,213円
団地型 1万4,660円
管理費(駐車場使用料等を除く) 平均 1万862円
単棟型 1万970円
団地型 1万419円
修繕積立金(駐車場使用料等を含む) 平均 1万2,268円
単棟型 1万1,875円
団地型 1万4,094円
修繕積立金(駐車場使用料等を除く) 平均 1万1,243円
単棟型 1万1,060円
団地型 1万2,152円

実際にはマンションの規模や付随設備、築年数などによっても差はでてきますが、駐車場使用料棟をふくめると相場は1万2,268円、除外すると1万1,243円程度となっています。

修繕積立金が値上がりするケース

修繕積立金の相場は前述の通りですが、積立金額が上がるケースもあります。

まず、「均等積立方式」ではなく「段階増額積立方式」で修繕積立金を支払う場合、初年度の設定金額は低いものの、一定の期間ごとに修繕積立金が増額されます。

また、そもそも初期設定金額が低すぎるケースもあります。こうしたケースを放置しておくと、いずれ修繕積立金が足りず必要最低限の補修工事すら実施できないということになりません。

また、修繕工事やメンテナンス費用の相場の上昇や耐震補強工事やバリアフリー化など長期修繕計画になかった工事を新たに実施する場合も、当初の想定より費用が多くかかってきます。

新築当時に作成した長期修繕計画も時間の経過とともに、現状とのずれが発生してきます。途中途中で必ず見直しを行い、収支の状況を必ず確認しましょう。修繕積立金はマンションを長く安全に使っていくための大切な資金です。不足が想定される場合は計画内容を精査し、それでも足りない場合は専門家にも相談し、一時金の負担や積立金の値上げの検討も含め速やかに事態に沿う内容にしていくことが大切です。

 

修繕積立金を滞納したらどうなる?2つのデメリット

修繕積立金を滞納した場合は、次のようなデメリットが考えられます。

管理組合による督促・訴訟のリスク

管理費や修繕積立金を滞納している場合は、まず管理会社を通じ、管理組合による督促が行われます。滞納金額が多い場合は、さらに訴訟へ発展する可能性もあります。滞納歴が短いケースであっても、管理組合側は簡易裁判所での少額訴訟が可能なため注意が必要です。

マンションが売れにくくなる

将来的にマンション売却を考えている場合は、修繕積立金の滞納が不利に働くケースがあります。

原則として、修繕積立金を含めた資産は、売主から買主に引き継がれます。マンション購入時の契約内容によっては、修繕積立金の滞納といった「負の資産」も、次の所有者に継承される可能性があるのです。

さらに、不動産仲介業者は修繕積立金の滞納について買主に説明する義務があるため、売買取引が成立しづらくなるというデメリットがあります。

 

修繕積立金の役割や管理費の違いを理解しましょう

マンションの修繕積立金は管理費と違い、共用部分の大規模修繕工事やメンテナンスのための資金です。月々の修繕積立金は少なからず負担になりますが、入居者の安心・安全な暮らしを守り、物件の資産価値を維持するために欠かせない大切な役割を果たしています。

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