2020.12.24
大規模修繕 

大規模修繕工事にかかる期間は?マンション規模別に解説

大規模修繕工事にかかる期間は?マンション規模別に解説

マンション大規模修繕工事は実際にどれくらいの期間がかかるのでしょう。今回は準備期間や工期について流れと一緒に解説します。

大規模修繕全体の工事期間

マンションの大規模修繕工事は計画を始めてから工事が完了するまで、トータルで2~3年程度を要する大きなプロジェクトです。計画から着工まででおよそ1~2年、着工後は3ヵ月~半年、規模が大きいマンションや団地、超高層マンションなどでは工事期間だけで1年を超える場合もあります。

規模別の工事期間

マンション規模別に工事期間をそれぞれ詳しく解説します。

大規模修繕工事にかかる期間

小規模マンション(総戸数50戸未満)

50戸未満の小規模マンションの大規模修繕工事期間はおよそ3~4ヵ月です。また、小規模なマンションだから準備期間は多少少なくても大丈夫ということはありません。住戸数が少ないからこそ、住人同士、顔がわかる関係性ができているマンションもあります。準備の段階で組合員の意見を吸い上げ、意見調整を行い、バランスのとれた工事内容にしましょう。今後の円滑な組合運営にも繋がります。

中規模マンション(総戸数50~100戸位)

50~100戸位の中規模マンションの大規模修繕工事期間はおよそ4~6ヵ月です。この規模になると建物も大型化し、それに伴い共用設備も増えてきます。修繕委員会または理事会を中心に、組合員の要望、費用面と工事内容のバランスを見ながら準備を進めましょう。検討事項も増えてきますので、計画段階から信頼できる専門家に入ってもらいアドバイスをもらうことも大切です。

大規模マンション(大規模:100戸以上・団地・超高層タワーマンションなど)

100戸を超える大規模マンションでの大規模修繕工事期間は、およそ半年から1年です。ただし、高層の建物や施工面積が大きい建物の場合は1年以上かかる場合もあります。規模が大型化すると検討すべき事項も多岐にわたりますので、担当する設計事務所や施工会社にも修繕の経験はもちろん、合意形成においても豊富な経験が求められます。また、組合員も多くなりますので、合意形成に時間を要するケースが多く、丁寧な意見調整が欠かせません。計画段階から十分に余裕を持ったスケジュールで準備を始めることが大切です。

大規模修繕の流れ

大規模修繕が完了するまでの流れを解説します。

①修繕委員会の結成

工事を進めていくために、まずは管理組合内での体制を整えましょう。そのひとつが修繕委員会の結成です。

修繕委員会のメンバーは組合員から選定します。人数や年齢に定めはありませんので、基本的には有志の方から選任することになります。管理組合の掲示板や広報誌などで募集をするのが一般的ですが、過去に大規模修繕工事に関わった経験のある方や建築業界に明るい方などがいれば、声を掛けてみるのも一案です。組合員の意見が公平に工事内容に反映されるよう、委員の選定においても年代層や男性女性に関わりなく、色々な方が参加している状態が望ましいと言えます。

修繕委員の大きな役割は

・組合員の意見を集約し、より適切な工事計画を立てること
・工事をスムーズに進めること

にあります。

工事の準備が始まると管理組合側の窓口、業者の選定や打ち合わせ、調査診断の立ち会い、組合員の意見徴収、住人向けの広報や説明会の開催などをリードします。

また、修繕委員は基本的に工事の準備段階から完工まで委員を務めるため、継続した対応が可能になるというメリットがあります。修繕委員会を設置せずとも工事を実施することはできますが、その場合は理事会が中心となって工事を主導するのが一般的です。しかし、理事は1~2年の輪番制で運用されている場合がほとんどです。また、この期間は通常業務に加えて、工事対応も加わり業務領域が増えます。準備や工事の途中で理事の交代がある場合は、引継ぎ時のロスをなくし、期が変わってもスムーズに運営ができるよう半数交代にするなどの工夫が必要です。

②建物調査診断の実施

適切な修繕計画を組むために、工事前にはマンションの状態を知る必要があります。大規模修繕工事実施予定時期の1~2年位前になったら、工事のパートナーとなる管理会社やコンサルタント、施工会社などに依頼し、共用部を中心に建物の調査診断を実施します。

③修繕工事の設計

調査結果に基づいて、建物の劣化状態から施工を行う箇所や内容、範囲を決定していきます。その際、積立金とのバランスを見ながら、施工内容を検討していきましょう。

ただし、設計の段階でわかる概算費用はあくまでも推定の金額になります。事前の建物調査診断では、足場を掛けて実施するケースはほとんどありませんので、工事が始まり足場を掛けたタイミングで施工箇所を改めて確認します。すると、例えば「調査段階の想定よりもタイルの張り替えが必要な箇所が多かった」といったケースも発生します。そのため、着工後にわかるこうした工事範囲の追加や仕様変更、追加工事などにも備え、予算も5~10%程度多めに見込んでおくと安心です。

④施工会社の選定

工事の内容が決定したら、次に施工会社から見積りを取ります。大規模修繕工事では複数の施工会社を比較検討するのが一般的です。その後、見積りを取得した会社の中から2~3社を選び、組合員の前で「ヒアリング」というプレゼンテーションを実施してもらいます。施工会社を決定する際は、工事価格だけで判断するのではなく、会社ごとの特色や工事に対する考え方も知って判断することが大切です。

ここで、施工業者を選ぶポイントをいくつかお伝えします。

・しっかりとした実績がある

マンションの大規模修繕工事は人が生活をする中で実施されるため、新築工事とは違ったノウハウが求められます。例えば工事中の音や臭い、安全に対する配慮、日々の生活に極力影響を及ぼさない工夫など、技術面だけではカバーしきれいない領域も多いのです。そのため、品質の高い工事を円滑に行うためには、多くの工事を経験して、ノウハウを蓄積している会社をおすすめします。

・会社の経営状態が良好であること

大規模修繕工事と施工会社の関係は、工事が終わったらおしまいではありません。工事が終わった後も定期的に建物にお伺いし、不具合が発生していないかアフター点検を実施します。施工会社は大規模修繕工事後の10年先まで一緒に建物を診てくれる心強い専門家です。施工業者を選定する際は、どうしても価格が重視されがちですが、実績や工事への意気込みはもちろん、施工後も長期にわたって安心してお付き合いができる会社か、財務内容・経営状態も含めてしっかり判断しましょう。

・お住まいの方達と円滑なコミュニケーションが取れること

大規模修繕工事を円滑に進める上で、居住されている方々の協力の協力は欠かせません。各現場に配属される現場代理人は、現場の責任者であると同時に、管理組合の皆様との窓口になります。ヒアリングの際には担当する予定の現場代理人にもぜひ参加してもらい、安心して工事を任せられるかどうか、その人柄も含めしっかり確認しましょう。

⑤総会開催、施工会社との契約

工事業者や工事の内容、予算が決まり次第、総会を開催します。 どんな工事をするのか、予算はいくらなのか、どの業者に依頼をするのかなどを組合員に説明して承認を仰ぎます。費用には修繕積立金が充てられますので、 組合員がきちんと納得できるような説明が必要です。総会の承認を得ることが出来次第、施工会社と契約をします。

⑥工事説明会の実施

工事に入る前には、マンションにお住まいの方に向けた工事説明会を開催し、施工会社から、工事の概要や工事期間中の注意点などを説明してもらいます。洗濯物やバルコニーの使用制限など生活上の注意点も含まれますので、組合員だけでなく、賃貸で入居されている方も対象になります。掲示板でのお知らせや各戸のポストに案内文を配布するなど広報活動が大切です。外部にお住まいの組合員の方にも案内を送って参加を促しましょう。工事中は作業員や車両の出入り、音や臭いなどストレスに感じる方もいらっしゃいますが、できるだけ多くの方に参加してもらい事前に不安や疑問を解消しておくことで、居住者側、施工側双方で工事に臨む体制づくりと心の準備ができます。

⑦工事開始

工事が始まったら、進捗状況に遅延がないかチェックします。理事会や修繕委員会の定例会議で、工事が問題なく進行しているかを確認し、居住者からいただく要望などについて管理会社やコンサルタント、施工会社も交えて情報を共有し、対応策を検討します。工事期間中、関係する業者とは綿密にコミュニケーションをとり、安全かつ円滑に工事が進むよう対応に努めましょう。

⑧工事完了

工事が完了したら竣工検査を実施し、契約の内容に則して工事がきちんと実施されているかを確認します。その後、報告内容を確認し、竣工図書を受け取ると大規模修繕工事が完工となります。

各工事にかかる期間

当項目では50~100戸程度の中規模マンションを想定した場合の各工事にかかる期間を解説します。ただし、それぞれの工事が並行して実施される場合もありますので、各工事の期間を足したものが全体の工期になるわけではありません。また、建物の形状や規模によって前後しますので、実際の工事の際には各種案内と一緒に配布される工事工程表や工事用掲示板で確認をしましょう。

足場・仮設設備の設置

足場や仮設設備の設置にかかる期間はおよそ15~20日位です。
建物の周囲を囲むように足場を設置し、その周囲をメッシュシートで覆います。これは材料の飛散や落下を防止する目的があります。また仮設設備は、作業員事務所や資材置き場、工事用掲示板など、工事期間中に使用する設備の総称で、工事後は足場と一緒に解体・撤去します。

下地補修・シーリング工事・鉄部塗装工事

下地補修やシーリング工事にかかる期間はおよそ2週間~1ヵ月位です。
下地補修工事は、壁や天井などに発生したひび割れなどの劣化部分を補修する工事です。シーリング工事では外壁の継ぎ目やサッシ廻りなどに充填されているゴム状のシーリング材を新しく打ち直します。鉄部塗装工事では、耐久性向上のため錆を落として塗装し直します。

外壁塗装工事・防水工事

外壁塗装工事や防水工事にかかる期間は、およそ1~3ヵ月位です。
塗装仕様のマンションでは、下地補修工事が完了した後、高圧洗浄で汚れやコケなどを取り除き、仕上げの塗装を行います。屋上やバルコニー、外廊下などは雨がコンクリートに与える影響を極力抑えるため、防水工事で機能回復を図ります。

大規模修繕工事にかかる期間をしっかり把握して工事を成功させよう

計画から工事完了まで2~3年という長期間にわたる大規模修繕を成功させるためには、事前の入念な計画が必要不可欠です。管理組合内の工事に向けた体制づくりに始まり、パートナー選びや建物診断の実施、予算の確保、工事内容の決定、説明会などの広報活動など、直前になってから慌てないよう長期修繕計画で大規模修繕実施予定時期を把握し、1~2年前になったら準備を始めましょう。

工事が始まってからは施工会社側が居住者の皆様の生活に配慮するのはもちろんですが、居住されている方々の協力も欠かせません。施工側がスムーズに工事を進められるよう、注意を守り、むやみに現場に立ち入るといった危険な行動をとらないこともとても大切です。

また、工事が始まると準備段階では想定しなかった事柄が発生することもありますが、慌てずに施工会社など工事の窓口となっている人に相談しましょう。工事中は進捗状況や仕様に関する確認など、関係する業者とは綿密にコミュニケーションをとりながら進めていくことが大切です。全体の流れがスムーズに運ぶよう、より良い協力関係を築きましょう。



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