最終更新日:2022.03.03
リノベーション 

築年数が経ったビルを再生!1棟丸ごとリノベーションを解説

リノベーション工事 ビフォー・アフター

高度経済成長期に建てられたビルや賃貸マンションの多くは、現在、築40年を超えて老朽化が進んできています。これまでの日本では「古くなった建物は建て替える」が常識でした。しかし一方で、こうした建物の再生方法として近年注目を集めているのが「リノベーション」、つまり改修をして価値を高める再生建築です。ここでは、ビルを始めとする鉄筋コンクリート造の建物を丸ごと再生させる『1棟丸ごとリノベーション工事』についてみていきます。

築年数が経ったビルは建て替えしかない?

日本に鉄筋コンクリート造(SC造)の建物が普及し始めてから半世紀、今では少し街を歩くといたるところに大小様々なビルが立ち並ぶ様子が、当たり前の光景になりました。しかし、こうしたビルの築年数の経過とともに多くのオーナーの頭を悩ませているのが、築40年、50年を超え、古さが目立つようになってきた建物の行く末です。

日本では一般的に建物は築浅が人気です。確かに外観もきれいで最新の設備を備えた建物は、使う側にとってもこの上なく魅力的です。一方で、築30年、40年を超えるあたりから、世間的には「古い」というイメージがマイナスの印象を伴って先行します。人気も収益性も徐々に落ちてきますので、建物を所有される方も維持管理や将来ついて、建て替えを含めて検討を始めるのはこの頃からです。

確かに、建物も築30年を超えると外観や設備の古さが目立ってきたり、安全性が懸念されたりと様々な課題が出てきます。実際、そのままではなかなか収益性の向上は見込めませんので、将来的な維持管理を考えた際、建て替えといった選択肢にあがってくる訳ですが、古くなった建物は本当に建て替えるしかないのでしょうか。

ここからは、再生建築の手法『1棟丸ごとリノベーション』という選択肢について見ていきたいと思います。

築年数が経過したビルはリノベーションで生まれ変わる

現在行われている代表的なビルや賃貸マンションの1棟リノベーション工事には、大きく分けて以下2つの方法があります。

・築年数の経過したビルやマンションをオーナーから不動産会社が1棟丸ごと買い取り、リノベーション工事を実施して各戸を売り出す。

・オーナーが所有した状態は変わらず、リノベーション工事を実施してオーナーが継続して建物を活用する。

ヤシマ工業が実施している『1棟丸ごとリノベーション』は、後者になります。オーナー様からご依頼をいただき、所有されているビルや賃貸マンションなどのリノベーション工事を行います。

実際のリノベーション工事では、築年数の経過した建物のコンクリートの構造部分のみを残し、外装や内装、設備を一新します。また、見た目だけをきれいに直すのではなく、コンクリートのひび割れなど、建物の構造部に生じた劣化箇所は補修をし、必要な場合は耐震補強工事も実施して、安全性も確保します。建物の土台となる部分はしっかりと直した上で、内外装をデザインしなおしますので、建物の自体の機能回復はもちろん、見た目も見違えるようにきれいになります。こうして機能性、安全性をしっかり確保し、長期にわたって活用できる新たな建物に再生させるのがヤシマ工業で実施している再生建築『1棟丸ごとリノベーション工事』です。

ヤシマ工業のリノベーション工事はこちら >

『1棟丸ごとリノベーション工事』のメリット

まずは『1棟丸ごとリノベーション工事』のメリットについて、解説していきます。

1. 建て替えの6割程度に費用を抑えられる

実施する工事の内容によっても変わってきますが、リノベ―ション工事の場合、通常の新築・解体工事に比べおおよそ6割程度の費用で実施することが可能です。

また、解体工事で出る産業廃棄物も大幅に減らすことができますので、環境にも非常に優しいといえます。

3. 間取り変更なども可能

工事の際は、構造部を残しスケルトン状態にしますので、間取りの変更は比較的融通が利きやすくなります。

例えば、40年前と今では一般的な住宅の間取りもだいぶ変わっていますので、間取りをデザインし直すことも物件の魅力を高めるには有効です。細かく仕切られている部屋やキッチンの壁を取り払い、広い一続きのLDKにデザインしなおすことで今風の間取りになり、部屋を探す方の目に留まる機会がぐっと増えるかもしれません。

また、新築当時とは建物周辺の環境が変わっていることも往々にあります。収益性を鑑み、住宅用に貸し出していた部屋を店舗仕様に、複数の住戸間の壁を取り払い広いワンフロアのオフィス仕様にといった用途の変更を実施することで、より周辺のニーズに対応した魅力度の高い物件となります。

4. 耐震性の確保

1981年6月の建築基準法改正を境に耐震基準がより厳格化されました。そして、法改正以前の耐震基準を「旧耐震」、法改正以降の基準を「新耐震」と呼び区別しています。

耐震補強工事が必要になるのは、主にこの「旧耐震基準」で建てられた建物になりますが、「旧耐震基準」で建てられた全ての建物で工事が必要という訳ではありません。まずは耐震診断を実施し、「新耐震基準」と比べどこが弱く、どこを補強すればよいかを調べます。「旧耐震基準」で建てられた建物でも造りがしっかりしており「新耐震基準」を満たす耐震性が確認できれば、現行の基準はクリアしているため、耐震補強工事の必要はなくなります。

近年の安全意識の高まりにより、この「新耐震基準を満たしているか」は建物の資産価値を考える上でも大きな影響を与えるようになりました。建物の長期使用を考える上で、安全面に加え、資産価値の側面からも避けては通れない問題です。費用の問題もあり、なかなか実施できないといった声もありますが、現在では耐震技術も進み、工法の選択肢も増えています。リノベーション工事を実施されるのであれば、一緒に検討していただくことをおすすめします。

5. 立地の良さをアドバンテージにできる

築年数の経ったビルの中には、人気エリアや駅の近くなど立地に恵まれているにも関わらず、その古さがネックとなり空室が埋まらなかったり、家賃が安く抑えられているケースもあります。こうした場合、リノベーション工事を実施することで、建物の見た目や設備の古さといったマイナスイメージを払拭することができます。また、劣化部分の補修や耐震補強工事を実施すれば、安全性の面でもきちんと説明ができるようになりますので、お客様がデメリットに感じる部分が大きく解消されます。立地が良いというメリットを最大限に活かし、収益面の改善が見込めます。

6. 受け継いできた建物を、資産として未来に残す

ビルを所有される方の中には、ご両親の代、もしくはさらに前の世代から建物を受け継いでこられたという場合もあります。大切に使ってこられ、愛着や思い入れはあるものの、老朽化が進み、収益性も落ちてきた中、どうすれば良いかわからないというケースも少なくありません。建物の将来について建て替えや売却なども含め、様々な選択肢を検討されると思いますが、その中に加えていただきたいのがリノベーション工事です。

リノベーション工事の場合、元の建物を活かして再生させる工事になるので、建物を変わらず使い続けていけるという良さがあります。実際に、見た目はもちろん設備も新しく入れ替えますので、建物自体は見違えるようにきれいに便利になったものの、色々なところに以前の建物の面影が残っているのが嬉しいというお声を伺うこともあります。壊して建て替えるのではなく、きれいに直して使っていくことで、こうした建物の歴史や想いも大切に受け継いでいけるのもリノベーション工事の良いところです。
ヤシマ工業のリノベーション工事はこちら >

『1棟丸ごとリノベーション工事』が難しい場合

建物を再生させる方法としてご紹介してきた『1棟丸ごとリノベーション工事』ですが、工事が難しい場合もあります。いったいどういった場合が見ていきましょう。

コンクリートの劣化が進み、建物の寿命が近くなっている

100年持つとも言われるビルやマンションですが、モノである以上経年劣化を避けることができません。鉄筋コンクリートで造られている建物の場合、コンクリートの劣化が内部まで進んだ時が寿命となります。

そもそも劣化はどのように進んでいくのでしょうか。まずは鉄筋コンクリートの劣化を進行させてしまう「中性化」という現象についてご説明します。

中性化について

鉄筋コンクリート造(RC造)の建物は、の建物はその名の通り、コンクリートと鉄筋でできています。単体でもとても丈夫な素材ですが、「圧縮力には強い」が「引っ張る力には弱い」コンクリートと「圧縮力には弱い」が「引っ張る力には強い」鉄筋が組み合わさり、互いに補いあうことでさらに強度を増します。しかし、何らかの理由で両者の支え合う力が無くなってしまうと一挙に建物は弱くなってしまします。そして、それを促すのが「中性化」という現象です。

鉄筋コンクリートは、素材同士、互いの長所を活かし短所を補い合う事でより強くなりますが、同時にアルカリ性のコンクリートには内部の鉄筋を保護し、錆にくくするという役割も担っています。そして「中性化」とは、このコンクリートのアルカリ性が経年により徐々に失われていく現象を言います。

中性化が進み、コンクリートのアルカリ性が抜けきってしまうと鉄筋を保護する力も弱まり、錆びやすくなります。鉄筋は錆びると膨張しますので、周囲のコンクリートを押し出し、内部から割っていきます。こうなると建物の強度は大きく下がり寿命となります。

中性化がコンクリート内部の鉄筋まで進んでしまった建物、つまり寿命を迎えてしまった建物は、表面上いくらきれいに塗装をしたり内装工事を実施したりしても、長期にわたって安全に使用していくのは難しくなります。

そのため、ヤシマ工業ではリノベーション工事を行う前には、まず建物診断で建物の状態を調査します。これは多額の費用をかけてリノベーション工事を行っても、建物の構造部であるコンクリートの劣化が進んだ状態では、いずれ長期の使用には耐えられなくなってしまうためです。こうした場合には、建て替えという選択肢も含め、ご検討していただくことをお勧めします。

『一棟丸ごとリノベーション工事』でビルを蘇らせよう

弊社にお問合せいただくお客様の中には、「もう老朽化も進んでいるし、建て替えるしかないのではないか」という方も多くいらっしゃいますが、実際に建物を拝見すると、思いのほかしっかりしたビルだったということは往々にあります。実際、鉄筋コンクリート造の建物は、40年、50年で使えなくなってしまうほど弱く脆いものではありません。きちんと手を加えてあげれば、再び資産として活躍できる可能性を十分に秘めています。

リノベーション工事は古い建物をもう一度資産として活用してくための方法のひとつです。実際、リノベーション工事を実施された客様の中には「こんなにきれいになると思わなかった」と驚かれる方も多くいらっしゃいます。建物の将来を考えた際、色々な可能性を検討されると思いますが、選択肢のひとつにリノベーションを加えてみてはいかがでしょうか。

一覧に戻る